天然すぎ
「………ロイドくん、何?」
「ん?ゼロスにくっついてる」
「いや、だから何で?」
「え、ダメか?」
「ダメじゃないけど…」
何で俺にくっつく必要が…?寒いわけでもないし。
ラタトスクの件から二人旅を再開して半年。
前より大人っぽくなったロイドに少し戸惑うことが増えたが、相変わらずバカだし突拍子もないことを言うこともある。ただ、俺を見て笑うロイドの笑顔が少し変わった。なんというか、柔らかいっての?まぁそれが大人っぽくなったとも言うんだけどな。なんか旅を再開してからロイドがこっちにくっついてくる頻度が増えたのは何故なのかは分からないが、時々こうやって黙って俺を抱きしめることがある。
「ロイドくーん?」
「ん」
「ハニー?」
「…ん」
「…ロイド?」
「何だ?」
さっきからロイドは何がしたいのか。いっつもこうやって俺が流されて聞けずじまい。なんか立場逆転してってる気がするがそれは気にしないことにする。
「ゼロスは嫌か?」
「嫌じゃねーけど。ロイド、旅再開してから時々こうするよな」
「んー…こういうの当てられたって言うんだっけ」
「は?」
「いや、エミルとマルタ見てたら俺もこうしたくなって」
「………要はイチャイチャしたいってこと?」
「い、イチャ………まぁ多分」
ロイドって俺を口説くようなこと普通に言うくせにイチャイチャとか言うと顔赤くなるよな。そういうとこがまだまだ初々しくてまたいいんだけどさ。
「で、くっついて何か満足したか?」
「うーん…どうだろ」
「そりゃないぜハニー…」
「でも、ゼロスの背中あったかいし安心する。ゼロスがいるから大丈夫だって思うだよな」
ロイドは笑顔でそう言うが、やはり自分が口説いてるってことを自覚していない。いや、自覚してたら世界再生の旅の時もコレットちゃんとかしいなたちに守ってやるからな!とか普通に言ったりはしないだろうな…。
あーあ、つくづくロイドが鈍感でよかったぜ。鈍感じゃなきゃ俺の方が立場下になってた可能性高いし。
「…ロイド」
「な、なんだ?」
「今日は寝させねーからな」
「!?」
とりあえず煽った責任は取ってもらうぜ、ロイド。