暖まる


「うわ、寒いなー!」
「そりゃそうでしょうよ!フラノールはいっつも寒い!」
「寒いけど、ゼロスと一緒だし」

ロイドは笑ってそう言った。
そう言われたゼロスはというと…。

「ロイドく~ん、それ反則だって…」
「何が?」

さすがロイドといったところか。

「今日は宿で泊まっていこうぜ」
「そうだな…。いい加減、暖まりたいしなー」

さすがに冬到来で冷え込み、宿に泊まっている人は少なかったが、シングル2部屋は空いていなかった。
仕方なく、ツインで泊まることに。

「さすがに外は寒かったぜ」
「だよなー。…あ、ゼロス」
「んー?何、ハニー」
「…ハニーとか言うなよ!て、いや、シャワーどうする?」
「…ロイド君が先入ったらー?」
「…じゃあそうする」

ロイドがシャワーを浴びている間、ゼロスは荷物の整理をしていた。

「おーい、ゼロス?…あれ、荷物の整理してたのか」
「たまにはしとかないとねー」
「ふーん。ゼロス、シャワーいいぞ」
「ああ…」

ゼロスがシャワーを浴びに行くと、ロイドは眠くなってきたのか、ベッドに潜り込んだ。

「…ロイド君ー?…て、寝ちゃったか…」

しばらくそんなロイドを見て、ゼロスはふと自分のベッドではなく、ロイドのベッドに潜り込んだ。
ロイドは疲れていたのか起きる気配はなく、ゼロスはしばらくロイドの寝顔を眺めて、自分も寝た。

「…う~…ん…も、朝か…」

ロイドは寝ぼけながら起きようとしたが…。

「…ん?…っ!!ゼロス!?」
「ん~?…あ、ロイド君、おはよう」

ゼロスのにへらっとした顔を見て、ロイドは怒る気が失せた。
自分のベッドにゼロスが潜り込んだことに気が付かなかった自分も自分だが…。

「何、人のベッドで寝てるんだよ」
「いやー、ロイド君と一緒に寝たら暖かくて寝やすいと思ってさー」
「はー…」

呆れたロイドであるが、ふと思い出し…。

「で?ちゃんと寝れたのか?」
「…あれ、ロイド君怒らないの?」
「…いや、その…ゼロスにとっては、フラノールは…」
「…あー。いや…今回はそういうのじゃなくて…ただ単に暖かくて寝やすいかなって思っただけだから」

ゼロスはちょっと複雑そうな顔をしながら、そう言った。
その言葉を聞いて、ロイドはほっとした。

「…そうか。それならいいんだけど」
「ああ。」


「…今夜も潜り込もっかなー」
「おいおい…」