雪だるま


ルーク達一行は、ケテルブルクに来ていた。
何故か。それは、女性陣が久しぶりにスパに行きたいと言ったからだ。
ケテルブルクに着いた途端、ティア達は明日の昼まで自由行動という事を決めてさっそくスパに出かけていった。
残されたルーク達は、泊まる宿へ部屋を取りに行った。

「何であんなにスパ行きたがるんだろうな…」
「さぁーな。でも、これで明日の昼まで音機関をいじれるな~!」
「…ガイ、そんなに音機関いじりたいなら部屋にこもっててもいいんだぜ?」
「ん?そうか。じゃあ、俺は部屋で音機関いじっとくよ!」

ガイはそう言って、颯爽と宿へ向かっていった。
いや、今から部屋を取りに行くのだが…。

「おや。ガイが部屋を取ってくれるんですかね~」
「…今の勢いだったら早くいじりたくて取ってくれるかもしれねーな…」
「まぁとりあえず行きますか」
「ああ…」

宿へ行くと、ガイはあんなに興奮していたにきちんと部屋を人数分取っていた。
そして、そのまま部屋に行ってこもったらしい。

「ガイって、音機関が関わるとすごいよなー…」
「そうですね…」
「俺は、どうしよっかなー」
「雪だるまでも作ったらいいのでは?お子様ですし」
「お子様で悪いかよ!」
「おや、そうとは言ってませんよ~」

そう一通りからかった後、ジェイドは外へ向かっていた。

「どこ行くんだ?」
「ああ、ネフリーの所ですよ。陛下にいろいろ言われましたからね」
「ふーん…」

風邪引かないで下さいよっと言ってジェイドはネフリーの所へ行った。
ルークはやることがないので、ジェイドに言われた通り、雪だるまでも作ろうと外へ出た。

「1人でってのは寂しいけど、雪だるま作るのは楽しいな~」

しゃがみこんで少し小さい雪だるまを作っていった。


小1時間ぐらいだろうか。
ルークは一生懸命雪だるまを作るのに集中していた。
だから、少し離れたところからジェイドが見ていたのに気が付かなかった。

「あとは…目だな。ん~…やっぱりジェイドのメガネかな」
「おや、それは面白いですね~」
「…そうだろ!ジェイドをイメージしてつく…」

ルークは誰かと会話していることに気づき、振り返ると…。
案の定、ジェイドがいた。それも、すごい楽しそうな顔をして。

「ジェ、ジェイド!お前、いつの間に!」
「気配を消して近づいたんですよ。思いの外、ルークが集中していましたからね」
「いや、絶対楽しんでただろ!」
「しかし、嬉しいですね~。私をイメージして作ったのでしょう?」

ジェイドは本当に楽しそうな顔をしていた。
ルークは、少し嫌な予感を感じた気がした。

「ルーク」
「な、何だよ」

もう一度振り返った瞬間―

「…んん!」

キスされた。
誰が通るかもしれない外で。

「…ご馳走様です」
「…な、な、な…!」
「ほら、早く仕上げて宿に行きますよ。体冷たくなってますからね」
「…わかった」

ジェイドはふっと微笑んだ。

旅のふとした、ささやかな時間―