抱き心地
「ハニー!」
ゼロスは後ろから走ってきて俺に抱き付いた。
「うわっ!何だよ、ゼロス」
「んー。ただ抱きつきたくなったのよ~」
「ふーん」
ゼロスのこの行動にはかなり慣れた。
「あ、ロイド君」
「ん?何だ?」
「年越しなんだけど…。一緒に過ごさないか?」
「え?パーティとかないのか?」
「大丈夫~。そこは無理言って参加しない事になったから」
俺はてっきりあると思って一緒に年越しするの諦めてたのに…。
でも、無理言ってまで…。
何か、無性に嬉しいような気がする…。
「…いいのか?」
「俺さまはロイド君と年を越したいんだけどなぁ~?」
「はぁ。まぁ、俺も特に用事もないし」
「やりぃ!」
そう嬉しそうに笑ってぎゅうっと抱きしめられた。
俺も、少し抱きしめ返した。
「嬉しいな~…」
「へ?何が?」
「一緒に過ごすの諦めてたのに、さ」
「俺さま、ロイド君と一緒にいるのが一番落ち着くぜ」
ゼロスは、抱きついたまま俺と話をしていた。
年が明けるまでこのままかな?
ゼロスの体温は温かい。
前にそう言ったら、「ハニーの方が温かい」と返された。
「あ、もうすぐ年が明けるぞ」
「…ロイド」
いきなり、名前を呼ばれた―
「…んっ…」
「…今年もよろしく、ロイド」
「…うん。よろしく、ゼロス」
びっくりした。
呼ばれて振り返った瞬間、キスされた。
多分、年明けの瞬間にされたと思う。
その後、うとうとしながら2人でベッドに入って寝た。
やっぱり、幸せだなぁ…って思う。