永遠の35歳
「明日は…、シルフリデーカン・22の日か…」
ルークは、カレンダーを見ながらそう呟いた。
「おや?珍しいですね、こんな時間に起きるなんて」
「そ、そうか?たまたま目が覚めてさー」
「ふーん?」
「…うっ」
ルークは、朝に弱い。
それは、一緒に旅をしている仲間は皆知っている。
しかし、今日は何故早く起きたのか悟られるわけにはいかない。
「じゃ、俺アニスに呼ばれてるから」
「ああ、はい」
「で?バレずに来れたぁ?」
「何か、今日が何の日か忘れてるっぽい」
「その方がいいのでは?」
「そうだな。じゃ、俺はピオニー陛下の所で旦那と時間をつぶすよ」
「まさか、陛下も協力してくれるなんて思わなかったぜ…」
そう、ピオニー陛下も協力者(共犯者?)なのだ。
どうやったら夕方まで時間がつぶせるか相談したところ、快く引き受けてくれた。
そのかわり、代わりにプレゼントを渡してほしいと頼まれたが…。
そして、ピオニー陛下に頼んで、ジェイドの家の合鍵を使わせてもらった。
飾りつけ担当は、ティア・ナタリア。料理担当は、アニス・ルーク。
「よっし。…かんせー!」
「ふぅ~…。疲れた…」
「そうね…」
「でも、結構よくできたと思いますわ」
「…できたか~?」
「ガイも、クラッカーの準備だぜ。」
ジェイドを玄関のドアの前に待たせ、ガイもクラッカーを鳴らすのだ。
「おーい、旦那。もう入ってきていいぞ~」
「一体、何なんで…」
「「誕生日おめでとう!!」」
「…はい?」
「はは。ジェイド、ほんとに忘れてたんだな」
「旦那を引き止めるの、結構大変だったんだぞー?」
「ええと…?」
「今日はジェイドの誕生日だろ?」
「…ああ。そういえばそうでしたね…」
「ジェイド」
「ああ、ルーク」
ジェイドが主役だというのに、皆はお酒なんか持ってきて…。
ジェイドは止めるわけでもなく、傍観しながらケーキを食べていた。
「…それ、俺が作ったんだ」
「ルークが…?」
「うん。アニスに教わりながらだけど…」
「とてもおいしいですよ」
「よかった、喜んでもらえて!」
ホッっとした顔で笑うルーク。
それを見て笑うジェイド。
ある意味?二人の世界であった。