ゆき


「うわぁ…!すごいな!」
「雪が、ですか?私は見慣れてますからね…。」


ルーク一行は、食料やグミなどの補給をするためにケテルブルクに来ていた。
1日休憩ということで、明日の朝まで自由時間ができた。
ルークはこの間、グランコクマまで行く際に立ち寄った時に、ゆっくり雪を眺めることができなかった。
だから、ケテルブルク出身であるジェイドを散歩に誘ったのだ。


「雪って、何で白いんだろうな…。」
「入ってきた光をほとんど吸収することなく散乱光として送り出すという性質のため、白く見えるんですよ。」
「…へー…。」
「そして、大量の積雪は日光の下で青みを呈することがありますが、これは水のもつ性質によるものです。」
「……へー…。」
「おや。ルークには少し難しかったですか?」
「う…。」

ジェイドが自ら説明してくれるのは、嬉しい。
だって、嫌な時は全然しないと解っている。
でも、言っている事が半分くらいしかわからない…。

「別に知らなくても困るものではありませんよ。」
「…うん。」
「むしろ、そういう事を思う人なんてごく少数だと思います。」
「そうなのか?」
「そうですよ。まぁ、科学者などは別ですが。」
「確かに。ジェイドもそう考えた事あるのか?」
「いえ…。考えたというよりも書物で知ってましたから、考えた事ありませんね…。」
「ふーん…。」

ジェイドは、雪が似合うと思う。
何故だか、そう思う。

ルークとジェイドは、その後しばらく無言で雪を眺めていた。