赤い瞳
「…うーん…。」
「…何ですか?ルーク。」
ある日の夕方、宿の部屋で読書をしていると、ルークが私の目を覗き込んできた。
「んー…。お前の目って、前は何色だったんだ?」
「あぁ、前はヘーゼルでしたよ。」
「…ヘーゼル?」
あまり聞かない色名だからか、ルークは首をかしげた。
「まぁ、明るいブラウンですね。」
「へー…。」
「…そんなに気になりますか?」
「うん…。でも、合わないな。」
「はい?」
何が合わないのだろうか…?
「いや、ヘーゼルだったら何か、合わないなーと思って。」
「まぁ、貴方はこの色を見慣れていますからねぇ。」
「だからかな。赤の方がしっくりくるんだ。」
「おや?私は貴方の翡翠の瞳の方が好きですよ。」
くすっと笑いながら、ジェイドはぐいっとルークの目を覗き込んだ。
「う~…。そ、そんなに見るなよっ…!」
「おやおや。顔が真っ赤ですよ?」
「う、うるさいっ…。」
ジェイドはルークを後ろから抱きしめて、耳元で言った。
「そんな純粋な貴方が好きですよ。」
ルークは顔が余計に真っ赤になって俯いた。