膝の上
「なー、ロイ。」
「ん、何だね?」
「なんで俺、あんたの膝の上にいるわけ?」
「いいじゃないか。たまにはのんびりと。」
「別にいいけどさー。」
「なにがそんなに嫌なんだ?」
「嫌じゃないけど…甘やかされてるような…。」
「たまには甘やかされてみるのもいいじゃないか。」
「うー。」
まだ、納得いかないらしい。顔が膨れている。
「そうだ、旅の話でも聞かせてくれ。」
「…うん、いいよ。」
「スー、スー…。」
「もう寝てしまったのか…。」
旅の話を聞いていると、軍の対応が届いていない所や、庶民の不満がたくさんあるらしい。
軍属ではあるものの、そういう気持ちが分かるのだろう。
特に小さな村や町はあまり対応は行き届かない。不満があるのも仕方がない。
だからか、庶民の事を考えたりしているとふと、私を思い出すと言う。
「何も膝の上で寝ることはないんだがね…。」
苦笑しながら、ロイも寝た。
翌日、遅刻したロイは中尉に銃で撃たれたらしい。
顔すれすれの所に。
すでに東方司令部では下克上があると言える…。