眠り姫にキスを


エドとアルは1時間前にイーストに帰還した所だった。エドの顔はすでに緩んでいる。
アルはエドが上官であるロイと付き合っていると知っているのであえて言わない。


「中尉、大佐って最近寝てないの?」
「ええ。最近テロが多くてね。始末書も書かないといけなかったから…。」

ロイの執務室には中尉・少尉がいる。それでいてみんなはエドとロイが付き合っていると知らない。
それによって、恋人の起こし方(どんな)ができない。
エドが14歳の時にロイと付き合い始めたのだ。そのため、上官兼恋人。
みんながいる時は普通の上官と部下という関係を見せている。
エドが秘密にしたいと言ったからだ。あの鷹の眼と噂の中尉ですら、分からないほど。

(どうしよう。でも…。)

「大将~?考え込んでどうしたんだ~?」
「エドワード君、大丈夫?」
「…えっ?あ、ああ、大丈夫だよ。」

アルは…。

「…兄さん。もしかして…。」

感のいいアルだ。エドの考えている事が分かったのだろう。

「…別にいっか。」

「「!!!!!!」」

中尉と少尉はものすごくびっくり。当たり前だ、エドがロイにキスをしたからだ。

「…う…ん。…あれ、鋼の?帰ってきてたのか。」
「…ああ。」
「ん?ホークアイ中尉、ハボック少尉、どうしたんだ?」

いまだに固まっている2人にロイはわけが分からないらしい。

「大佐、中尉と少尉が固まっているのは、兄さんが大佐にキスしたからですよ。」

親切にもアルはハテナを浮かべているロイに教えてあげた。

「…エド!やっと君からキスがもらえたよ!!!」

2人はてっきり怒ると思っていたが、逆にものすごい喜んでいる。
しかも、鋼のではなく、エドと呼んだ。

「大佐!これはどういう事ですか!?」

先に我に返った中尉が言った。

「ああ、実はね。私とエドは付き合ってるんだよ!」
「…ええっーー!大将、本当なんスか!?」
「…う、うん。」
「知らなかったわ。それならそうと言ってくれればよかったのに。」
「うん、ごめん。秘密にしたかったんだ。」

まぁ、不意打ちキス事件(えっ)はこれにて、幕を閉じた。