くるくる…
そしてメガネの落ちる音が響く
「…シロエくん、何をしているんですか?」
「指でメガネを回せるかを試しているんです」
それをして何の意味が…という言葉を呑み込んで、クラスティはメガネを回そうと苦戦しているシロエを見つめていた。
しかし、何度やっても1、2回で指からメガネがはずれて机や床に落ちる。
おそらく最初はちょっとした遊びだったのだろう。何度もやっている内に回そうと躍起になってしまったと思われる。
「それで、いつからやってるんですか」
「昨日の夜から」
「きちんと寝ました?」
「………寝ました」
「嘘はいけませんね、嘘は」
「…何時間かは寝ましたよ」
会話している今もメガネ回しに挑戦しているシロエを見て、溜息をついた。シロエの仕事が一段落しているからこそここまで真剣になってしまうのか…。
今サインしている書類で私も一段落しますし…とクラスティはさっとサインをし周りの書類関係の物を片づけると、自分のメガネを外した。
「…あれ、クラスティさんもやるんですか?」
「真剣にしている君を見ていると、私もやってみたくなってね」
くるくる…くるくる…
机や床にメガネが落ちる音はない
「あー!何でクラスティさん回せるんですか!?」
「何でと言われましてもねー…」
まさか一発で回せるとは思わなかったというような表情をしていたクラスティに、シロエはどうやって回すのかと詰め寄った。
特に回すコツも何もないというクラスティに頼み、ずっと回してもらって観察することにしたシロエ。
「う~ん…何で回せないんだろ」
「別に回す必要性ないですしいいのでは?」
「いや、ここまで来たら完璧にやりたいです」
真剣に取り組む姿勢は評価できても、それがメガネ回しとは…。
その後、追加の書類がこないことをいいことにシロエはクラスティの回し方を研究し続けた。
はたして、シロエはメガネをくるくる回すことができたのか…
End.