恋の先にあるもの


あなたがいなくなってからもう、5年も経つのね。

1ヶ月後の特集番組のナレーションをすることになったミレイは溜息をついた。




あなたにとって、私はどう見えていたかしら。
傍迷惑な会長?アッシュフォードの番人?

あなたがアッシュフォード学園という名の箱庭で満足とまではしてなかったのは知っていたわ。そして、信頼とまではされてなくても信用はしてくれていたのも知ってた。
ずっとあなたたちを見てきたんですもの、それぐらい分かってたわ。

あなたがいなくなってから2ヶ月ほど経った時、記憶を取り戻した。
なんで私は大事なことを忘れてしまったのか、たとえどんなことがあろうとも忘れたりしないと誓っていたのに…!

私ね、あなたのことずっと好きだった…ううん、愛してた。
婚約者として初めて会った時から私はあなたと一緒に生きたいと心から思えたの。
あなたは申し訳なさそうな顔していたけれど、私にとってはそう、運命の出会いだったのよ?

だからお見合いも何だかんだ理由をつけたりして断ってた。たまにあなたに愚痴のように言っても困った顔するだけで嫉妬なんてしてくれなかったわね。あれ、結構傷ついたのよ?
もちろん分かってるわ、あなたは表に出るわけにはいかなかったから。でも、ちょっとぐらい気にしてくれてもよかったと思うの。

あなたは私のことを何と思っていたのかしら。ナナちゃんまでとはいかなくても、それなりに愛してくれていた、と思ってもいいのよね?

あの日のこと、誰も…知っていたであろうニーナでさえ何も教えてくれなかったけど
最期、あなた笑っていたわね。
本当に少しだけ、身近にいた人にしか分からないような微笑み。

その微笑みを見た瞬間、理解するしかなかった。
これは、あなた自身が考えたシナリオなのだと。

あなたは、残酷な人。
私やリヴァルたちが何も思わないなんて、そんなこと思ってなかったわよね?

あの日、泣きたかった。泣き叫びたかった。
でも、世界にとってあなたは悪逆皇帝でしかなくて。


記憶を取り戻した日、ジェレミア郷から手紙を渡されたわ。
あなたの直筆の短い手紙には、アッシュフォードへの感謝と謝罪、そして私への言葉が書かれていた。
男女逆転祭はもうやりたくないなんて、酷いわ。あれ意外と一生懸命考えたのよ?もちろん、高等部でアンケート取った結果も踏まえて。

そう、あなたは酷いわ。
“ 箱庭の番人であり、大切な人 ミレイ・アッシュフォードへ “ だなんて…ひどすぎるわよ!

たとえ、この先結婚したとしてもあなた以上の人には出会えない。断言してもいいわ。
あなたは、心の中に深く刻み込まれた私の大切な、大切な皇子さまだから。



いつまでも愛しています、ルルーシュ―