愛しい皇子


「ロイドさん。」
「ん~?何ぃ、セシル君。」
「この前のランスロットのデータの処理をしてくれませんか?」
「ん~。あー、僕しかできない書類処理のやつねぇ~。」
「はい、お願いします。」

そう言って、セシルは自分の仕事をし始めた。
それをしばらく眺めた後、自分の研究室へこもった。

「…んー…。ランスロットのデヴァイサー、枢木スザク。」

ロイドは、ぶつぶつと独り言を言っている。

「……………殿下。」


ロイドには、自分が決めた主がいた。

紫電の瞳を持つ唯一の主、ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア

7年前、日本に人質として送られた。
あの、悲劇の皇族の一人である。
あの日の2日前から、ロイドは仕事で本国にいなかった。
仕事の都合上で、しばらく戻れなかったのだ。
帰ってきたときには、全てが終わっていた…。
ルルーシュ・ナナリーは、戦後亡くなったと伝えられた…。

「そんな…。」
「すまない、ロイド。私も逆らえなかった…。」

シュナイゼルは、視線を下に向けたまま謝った。
彼が謝ることじゃない。彼も、主を愛していた一人なのだ。

「ロイド。ルルーシュ達は絶対、生きている。そんな簡単に死ぬような子じゃない。」
「…分かってる、けど。」
「ロイド、彼が見つかるまで私の下で働きなさい。」
「………。」
「見つかった時には、」
「分かった。」

ロイドは、主が見つかるまでシュナイゼルの下で働くようになった。


「んー。そういえば今日、実験資料がいるからもう来てなちゃいけないのになぁ~。」

ロイドは、セシルにスザクを迎えに行くと言って、学園に向かった。
この時は、まさかあんな事になるとは思わなかった…。