「…もうこんな服、着る事ないと思っていたんだがな…。」
「ふふ。とっても似合ってるわよ?ルルーシュ。」

ミレイは、ため息をついている元婚約者にそう言って微笑んだ。


ダンスパーティー




「…は?会長、もう一回言って下さい。」

ルルーシュは現在、大変困惑中であった。

「えー、だからぁ。仮装パーティーをする時の衣装のアンケートをとってね。それで…。」
「だから、この服を、着ろというんですか…?」

二度と着る事はないだろうと思っていた、どこぞの皇族貴族が着ている服があった。
そんな服だからこそ、ルルーシュは断然拒否したかった。
学園内のパーティーではあるが、着たくない!っというのがルルーシュの本音である。

「アンケートで、『ルルーシュ君の皇子様姿見たい!』ってのが圧倒的で…。」
「……ミレイ。」
「…ただのダンスパーティーですから。」
「…いや、そういう事では…。」
「女の子達に話しかけられるのはあまり好きではないでしょう?それに…。」
「…ミレイ?」

「婚約者をエスコートするのが当然じゃなくて?」

もう解消したとはいえ、元婚約者。
今現在婚約者がいないミレイをエスコートするのは元がつこうが、ルルーシュなのである。
まぁ、ミレイは婚約者はルルーシュ様だけ!っと心に決めているが…。

「うっ。…わかったよ、ミレイ。」
「よろしい。…じゃ、この服に着替えてねー。」
「はぁ、こんな服また着る事になるなんて…。」

楽しそうなミレイとは逆に、ルルーシュは諦めた表情で着替え始めた。


「おっ。ルルーシュ皇子のご到着だな。」
「…リヴァル。お前は…。」
「バンパイアの仮装。仮装オッケーだからな、このパーティー。」
「…俺も、そっちの方がよかった…。」
「えーそうか?よく似合ってるぜ?」
「何でアンケートでこんな服を着てほしいと書くんだ…!」
「女子達の大半はルルーシュの皇子様姿を見てみたいらしいからなー。」
「……そういえば、会長は?」
「え?会長は…そういえばどこ行ったんだろ。」
「はぁ。まぁ、探すか…。」
「会長に用事あるのか?」

「……不本意だが、会長をエスコートする事になったんだ。」
「…えっ!!!」

リヴァルは驚愕して叫んだ。
エスコート…。ルルーシュが、会長を…。

「まぁ、脅されたというか…会長命令でな。」
「…そ、そうか…。」

未だにショックであるらしく、唖然としながらリヴァルは返事をした。


「…ミレイ、ここにいたのか。」
「あら。皇子様のお迎えね。」

ルルーシュは、周りに人がいないのを確認してからミレイに話しかけた。

「もうパーティーは始まっているんだが。主催者がいなくてどうするんだ。」
「…主催しましたけど、基本自由ですから。…よかったら、最後まで一緒に踊りません?」
「…そうだな。」

ルルーシュはミレイをエスコートしながら会場に戻った。
さすがは元皇族。エスコートが完璧である。

「…何か視線を感じますね。」
「まぁ、ちょっと噂になってる私達が一緒に踊ってるんだもの。」
「…噂?何かありましたっけ?」
「私とルルちゃんが付き合ってるっていう噂よ。」
「…ある意味、否定できないような…。」
「よねー。…でも、そう噂されるのも悪くないわね。」
「まぁ、俺もそこまで…。」

小声で会話しながらダンスを踊るミレイとルルーシュ。
常に会場の注目の的だ。
ラストダンスもミレイと踊ったルルーシュに、女子達はショックらしかった。

翌日、ルルーシュはリヴァルに羨ましがられた。
最初から最後までミレイとずっと踊っていたのだ。

「まぁ、会長命令だったからな。」
「でも、俺も会長と踊りたかった…。」

すまないな、リヴァル。私もミレイが好きなんだ。

心の中でそう謝った。
しかし、この一連の事で噂は本当だった!?っとなるのは近いだろう…。