昔の名残


「…会長。これは、何ですか…?」
「それは…いわゆる、女装よ!」
「何で、俺が女装しないといけないんですか…?」
「男女逆転祭の時のルルちゃんが好評でまたやってほしいってリクエスト来たのよ。」
「……。」

誰だ、そんなことを言ったのは…っとルルーシュは内心怒りに燃えていた。

「まーまー。落ち着けよ、ルルーシュ。」
「これで落ち着いていられるか…!」
「そうかしら?ルルちゃん、昔は…。」

ミレイは昔は…っと言いかけた時、ルルーシュは。

「っ!…ミレイっ…!」
咄嗟に昔の呼び名で言ってしまった。
そしてルルーシュは我に返り、咄嗟に口を押さえた。
ミレイは、そう呼ばれて固まった。

一方、リヴァル達、生徒会メンバーは驚いていた。
普段、ルルーシュはミレイの事を会長と呼んでいる。
それは、初めて会った時からそうだった。

「…ル、ルル…?」
「ルルーシュ…?」

咄嗟に言ってしまったので、ルルーシュは口を押さえたまま固まった。

「…ルルちゃん。」
「……すいません。」
「…まぁ、そう呼ばれるのも久しぶりだったからうれしかったわよ?」
「貴方にうれしいと言われてもこっちはうれしくないんですが…。」

ルルーシュとミレイはぎこちなく会話をしていた。

「えっと、ルルーシュ…?」
「……昔は、そう呼んでいたから、つい、癖でな。」
「えっ?会長とルルーシュ君って昔から知り合いなんですか…?」

ルルーシュは、あまり言いたくないような顔をした。

「まぁ、もう10年近くなるかしらね…。」
「…もう、そんなに経ちますか…。」

メンバーは驚いた。
2人はもうそんなに長い知り合いだったのだ。

「…初めて会った時は、可愛かったわね~。」
「うれしくありませんよ。可愛いなんて言われても。」
「でも、お母様の後ろに隠れながらこっちを見ていた貴方は可愛かったわよ?」
「…後見とはいえ、いきなり婚約者がくるとか言われたら、あの頃の純粋だった俺でも警戒しますよ。」
「「「こ、婚約者…!?」」」

後見とか純粋とか、いろいろ言いたいことはあるが、まずこれには驚く。

「そう?まぁ、あの頃のルルちゃんって、今みたいに警戒心あまりなかったものね。」
「そうですか?自然と警戒心強くなりますよ。いつ殺されるか分からない所でしたし。」

こ、殺される…!?一体どんなところに住んでいたんだ…!?
メンバー達は余計に混乱する。

その後は、2人に追求できる雰囲気ではなかった。
…聞きたい事はたくさんあったが…。