気まぐれ兄さん


「…ねぇ、兄さん」
「ん~?」
「帰らないの?大佐のとこに」
「何で?」

「……兄さん。去年もだよね」
「…ん~。じゃあ、東方司令部に帰るか」
「う、うん」

あの兄さんがこんなあっさり帰ろうなんて言うだろうか…。
それとも、兄さんも少しは素直になったのだろうか?



「はぁ~…。中尉、今年も鋼のは帰ってこないのだろうか…」
「どうでしょう。アルフォンス君が言い出したら帰ってくるんじゃないでしょうか」
「そうか…」

このダメな上官はエドワード君が帰ってこないのかと溜め息を吐きながら仕事をしている。
一応、仕事をしているだけでましだと思うわ。本当にダメな時は仕事をしないもの。

「兄さん珍しいね」
「は?何が?」

兄さん、気づいていないの?

「去年は絶対帰らないって駄々こねてたじゃないか」
「…そうだったか?」
「そうだよ。それに、年末年始は帰った方がいいだろうし…」
「何で?」

「大佐とゆっくりできるでしょ?」

「うっ…!」
「兄さん、顔真っ赤~」
「うるさいっ!」

兄さんって、分かりやすい。



「大佐。エドワード君からお電話です」
「鋼のから!?」

『あ~、大佐?』
「ああ、どうした?」
『今、イーストシティの駅にいるんだけど…』
「何?じゃあ、迎えに行く」
『は?…え、ちょっ!』

ロイは電話を置いて中尉の方へ向いた。

「……中尉」
「はぁ、いいですよ」
「ああ、すまないね」



「鋼の!」
「あ、大佐」
「…アルフォンスは?」
「…宿。今日は帰ってくなくてもいいって…」
「くす。気が利く弟君だね」
「ふん」
「では行こうか」
「どこに?」
「私の家に決まっているだろう」
「…うん…」

次の日、すごく機嫌がいい大佐が目撃?された。